MikroTikニュースレター129号(2025年11月)が発行されました

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はじめに

MikroTikから2025年11月のニュースレター129号が公開されました。今回は、コストパフォーマンスに優れた新型Wi-Fi 6ルーター「hAP ax S」の発表があり、ほか産業用IoTゲートウェイの改良版、さらにはラトビアでの量子暗号通信技術の実用化などの情報が掲載されています。

hAP ax S – 79ドルのWi-Fi 6ルーター

製品概要

MikroTikが発表した「hAP ax S」は、以前に販売されたhEX S refreshにWi-Fiを搭載した機種であり、SOHO(小規模オフィス/ホームオフィス)向けの新型Wi-Fi 6対応ルーターです。価格はわずか79ドル(約12,000円前後)という驚異的なコストパフォーマンスを実現しています。

主な特徴

  • トリプルチェーン5GHz帯: 実測で800-900Mbpsのスループットを実現
  • デュアルバンドWi-Fi 6: 最新の無線LAN規格に対応
  • デュアルコアARMプロセッサ: 安定した動作を保証
  • 5つのギガビットイーサネットポート: 有線接続も充実
  • 2.5GギガビットSFPポート: 光回線やNAS接続にも対応可能
  • PoE入力 + PoE出力: 柔軟な電源供給オプション
  • RouterOS v7搭載: サブスクリプション不要の高機能OS

なお残念ながら技適が取得できていないので日本での使用は出来ません。

このモデルのWi-Fiを搭載指定モデルhEX S refreshを購入するのが良いと思います

KNOT LR9G kit – 産業用IoTゲートウェイ

製品概要

KNOT LR9G kitは、スマート資産追跡、リモート監視、効率的な自動化を実現する産業グレードのIoTゲートウェイです。今回のアップデートでは、LoRa受信性能の向上、GPS・LTE CAT-Mの同時動作、そして価格の引き下げが実現されました。

主な機能

  • LoRa 915MHz対応: 長距離・低消費電力通信
  • LTE CAT-M1/NB2技術: 低コストなモバイル通信
  • 2つの100Mbpsイーサネットポート
  • 2.4GHz無線LAN
  • Bluetooth 5.2
  • GNSS(GPS)
  • GPIO、RS485/Modbus対応
  • PoE入力・出力

主要なアップグレード内容

  1. GPS・LTE CAT-Mの同時動作: 移動中の資産をGPSで正確に追跡しながら、LTE CAT-M1接続を維持できます
  2. 915MHz LoRa受信性能の向上: 感度が向上し、干渉の多い環境でもより強い信号と長い通信距離を実現
  3. 多様な電源オプション: PoE入力、DCジャック、MicroUSBから選択可能
  4. すべての主要インターフェースにSMAメスコネクタ: LTE、GPS、LoRaのアンテナ設置が簡単
  5. 価格の引き下げ: 179ドル(約27,000円前後)で高い信頼性を維持
  6. RouterOS v7搭載: 完全な制御、カスタムスクリプト、高度なルーティング機能

なお、この機種についても技適の取得が出来ていないと思われるので、日本での使用は出来ないかと思います。

MikroTik Connectivity – eSIMソリューションの提供開始

新サービスの概要

MikroTikは、LTEおよび5Gデバイスのセットアップをこれまで以上に迅速かつ簡単にする、組み込みeSIMソリューション「MikroTik Connectivity」を発表しました。

特徴

  • 物理SIMカード不要: 紛失、破損、欠品の心配がありません
  • MikroTikアカウントから即座にアクティベーション: 瞬時に接続開始
  • ルーターに直接統合: eSIMがデバイスに組み込まれています
  • マルチオペレーター切り替え: 複数の通信事業者間での切り替えが可能
  • 自動地域接続: サポートされている国での自動接続
  • 手間のかからないローミング: 対応国間でのシームレスな移動

対象ユーザー

新しいデバイスですぐに接続が必要な方に最適です。物理SIMは不要で、すべてアカウントから管理できるとのことです。

こちらについては日本でのサービス提供がされているのか未確認です。

How to use MikroTik Connectivity eSIM data plans
Our eSIM enabled device range is expanding and you can now purchase multinational data plans directly from us - this video shows you how.

ラトビアでの量子暗号通信の実現

  • 画期的な取り組み
    • ラトビアで、データセキュリティの新たなマイルストーンが達成されました。ラトビア国営ラジオ・テレビセンター(LVRTC)との協力により、MikroTikは量子セキュア(量子コンピュータの脅威に対しても安全な)データ伝送ソリューションを開発・実装し、現在エンドユーザーが利用可能になっています。
  • 技術的な詳細
    • RouterOS v7.21beta2以降、MikroTikデバイスは量子通信システムによって生成された暗号化キーを使用できるようになりました。これにより、将来の量子コンピュータによる脅威に対しても安全なインターネット接続が実現します。
  • 高い信頼性と柔軟性
    • MikroTikのプロジェクトマネージャー、は次のように述べています:
      • 「開発されたソフトウェアは、高い信頼性と柔軟性を持って設計されています。デバイスが一時的に量子通信デバイスとの通信を失った場合でも、データ伝送は中断されず、他の利用可能なキー同期方法を使用して動作を続けます。これにより、中断のない安全な接続動作が保証されます。」
  • 国際標準に基づく実装
    • この成果は、ラトビアの国家量子インフラ内でテストされ、国際標準(RFC 8784)に基づいています。エンジニア、研究者、公的機関間の地域協力が、高度な研究を実用的なイノベーションに変換できることを示しています。
    • ラトビアは着実に量子技術の地域ハブとなりつつあり、MikroTikはその道のりをリードできることを誇りに思っています。

RDS2216を使用したマルチサイトファイルクラスタ事例

ユーザー事例の紹介

ベトナムのあるユーザーが、2台のRDS2216ユニットを使用して、異なるサイト間で強力な分散ファイルサービスクラスタを構築しました。

システム構成

  • SeaweedFSを使用: レプリケーションと冗長ストレージを実現
  • 各拠点のNomadのDockerサーバーを配置: 高速ネットワークポート経由で接続
  • NFSシェアを使用: 永続的なコンテナデータを保存

このセットアップにより、サイト間で高速で信頼性の高いファイルストレージと共有を実現しています。チームは、コストのかかるパブリッククラウドストレージに依存することなく、完全なマルチサイト冗長性を実現するために、4つのRDSノードへの拡張を計画しています。

ユーザーの声

「RDS2216は、外部のクラウドストレージに料金を支払うことなく、独自のマルチサイトストレージクラスタを構築する柔軟性を提供してくれました。信頼性が高く、強力で、インフラ計画に完璧にフィットします。」

日本ではさすがにまだ購入した方はいないと思いますが、価格もだいぶ安価であること、もう少し信頼性のある事例が出てくるようであれば、日本国内でも出てくると良いですね。

その他のトピック

カンファレンス参加報告

この秋、MikroTikは多くのイベントに参加しました:

  • 日本のCEATEC: 5Gソリューションへの強い関心が示されました
  • リガのTechritory Forum 2025: ヨーロッパのデジタル未来を形成するイノベーター達との交流
  • TheThingsConference: 成長するIoTコミュニティとの対面での出会い

なお、筆者はCEATECに参加し、MikroTikのブースに伺っておりました。

残念ながら当初はMikroTik CEOが参加する予定だったそうなのですが、アメリカのイベントと重なってしまったため、そちらに行かれたようです。

代わりにラトビア開発投資庁から依頼された方がいらっしゃったので、そちらの方々に無線LAN搭載機器などが日本では中々使用するにはハードルが高いので、なんらかのサポートが欲しいなどの言伝をお願いしてきました。

さいごに

MikroTikの2025年11月ニュースレターは、同社の技術革新への継続的な取り組みを示す内容となっています。特に注目すべきは、79ドルという価格でWi-Fi 6とRouterOS v7のフル機能を提供するhAP ax Sと、将来の量子コンピュータの脅威にも対応できる量子暗号通信技術の実用化です。

また、IoT分野でのKNOT LR9Gの改良や、eSIMソリューションの提供開始など、家庭用から産業用まで幅広いニーズに応える製品ラインナップの拡充も印象的です。この辺りも日本で使用できるようになればもう少し面白い展開が出来るようになるのかなと思います。

リンク

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